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  • 謹賀新年

    あけましておめでとうございます。

    2008年、平成20年となりました。

    昨年は仕事のペースがなかなかあがらず、多くの関係者の皆様にはご迷惑をおかけ致しまして、大変申し訳ありませんでした。
    いまだ、未解決のままになっている件も多く、相変わらず、新規の仕事をお受けするのが難しい状況になっております。
    以前からのお客様にはできる限り優先対応しておりますが、年度内はこのような状態が続くものと思われます。

    そのような次第で,私のWebサイトや,このブログをご覧になって、初めて連絡を頂く方もあり、大変ありがたいのですが、残念ながら、当分の間お引き受けできません。恐れ入りますが、最寄りの弁護士会へ、ご相談ください(クリックすると日弁連サイトへ飛びます)。

    今年も皆様にとってよい一年でありますように。
  • 「内容証明」ってなんですか

    (意味)
    「内容証明郵便」とは、相手に送付した郵便の控えを郵便局が保管することにより、「誰が・いつ・誰に・どんな内容の文書を送付したのか」を公に証明できるというしくみです。
     通常は、これに「配達証明」を付けて、「その文書がいつ相手にとどいたのか」まで証明してもらいます。内容証明と配達証明をあわせて「ナイハイ」と言っています。

    (目的)
     内容証明の目的は、相手方に対する「意思表示」の事実を公に証明できる状態にすることにより、後日の紛争を避けたり、権利を確保したりすることです。
     内容証明で「~を支払え」と請求されても、それ自体には何の強制力もありません。内容証明がきたらすぐに払わないと大変なことになると思っている人が結構多いようですが、そんなことはありません。なんらかの内容証明を受け取ったら、慌てず騒がず、まず弁護士へご相談ください。

    (用意するもの)
     A4の紙 必要枚数×3
     封筒   1通
     郵便代金 必要額(後記)
     筆記用具(エンピツは不可です)またはワープロ
     印鑑(三文判で結構です)
     大きな書店・文具店では、内容証明のセットが販売されていますので、それを使うのも便利ですが、別にどんな紙でも封筒でもよいのです。鉛筆書きは不可ですが、ワープロ打ちはかまいません。
     修正液等は使えません。筆記よりも、ワープロで作成されることをお薦めします。

    (書き方)
     A4の用紙を縦に使って、横20文字、縦26行で記載してください。この字数制限は必ず守ってください。なお、文字には句読点も含みますので、ワープロをお使いの場合には、禁則処理をしないでください。
     綴じ代として左側に3cmほど余白を残しておくと、いざ裁判になったときの資料として美しく提出できます。
     複数枚になる場合には、差出人名の契印(用紙のつづり目に渡って押印すること)が必要です。
     封筒には前もって差出人と宛名の両方を記載しておきます。これは本文の末尾に記載した差出人・宛名と一致していていなければなりません。
     書く内容は弁護士に相談し、過不足ないように書くのがスマートです。あまりにも素人的な文章だと、相手から侮られることがありますし、最悪の場合、せっかく出したのに意図した効果が発生しないなんてことにもなりかねません。

    (出し方)
     集配をしている大きな郵便局でないと受け付けてくれません。
     窓口へ封筒1通と本文の同文3通を持参し、「ナイハイで!」と言って差し出します。
     すると、局員が文字数制限を守っているか、押印はあるか、差出人・受取人宛名は本文と封筒で一致しているか、などをチェックしたうえ、受付印を押して、本文1通を返してくれます。場合によっては、封筒と本文2通を返される場合がありますが、これは自分で封筒に入れてくれという意味ですから、封筒のなかに本文1通を入れて封をして再び窓口へ渡します。結局手元に必ず本文1通が残り、封筒に入った1通が相手へ届き、残る1通が郵便局で保管されることになります。

    (費用)
     内容証明郵便のみだと用紙1枚で920円、用紙が1枚追加されるごとに、250円がかかります。配達証明をつけると、300円かかります。
     なお、弁護士に内容証明の作成を依頼する場合の基本料金は、本人名義で出す場合は1~3万円、弁護士が代理人名で出す場合には3~5万円です。
     但し、訴訟事件や示談事件の依頼を受けた弁護士がその事件の処理に関連して内容証明を作成する場合には、別料金をとらないことのほうが多いと思いますので、内容証明の作成のみを依頼するのは、かえって高コストになるでしょう。

  • 親子・兄弟の縁を切るにはどうすればよいですか

     親子兄弟との縁を切りたい。非常に良くある法律相談ですが、回答としては「法的には不可能」です。

     まず、養子縁組により血縁関係に入った場合は、離縁すればよいので、問題ありません。
     しかし、生まれながらの血縁関係については、その血縁関係を切断・清算する手段は法律上、なんら用意されていません。むしろ「直系血族(親子孫)および兄弟姉妹は相互扶養義務を負う(民法877条)」として、法的にはお互いの面倒を見る義務まで課されています。

     縁を切りたいという希望をかなえるには、住所・電話番号その他あらゆる個人情報を出来る限り秘密にしておくことです。
     たとえば、住民票を移さないままに他所へ転居すれば、住民票による追跡が不可能になります。ただし、これには住民票が必要となる行政上のサービスがほとんど受けられなくなることや、移転届出義務違反による過料の制裁があるという大きな不利益を伴いますから、お薦めできません。

     なお、現実に面会を強要されたり、意に添わない仕打ちを受けたり、付きまとわれたりする場合には、裁判上の処分により「面談禁止・架電禁止の仮処分」の決定を取ることで、ある程度被害防止を図ることは可能です。
     これは、「自宅等の立ち寄り先や自己の所在地から半径何メートル以内に立ち入ってはならない」とか「電話をかけてはならない」、「面談を強要してはならない」などという個別の禁止条項を裁判所に決めてもらい、相手に通知するやり方です。もし相手がその条件を守らない場合には、例えば、1回の違反行為につき10万円の違約金を請求するという条項(間接強制といいます)をプラスすることもあります。
     仮処分の具体的な進め方等については、専門的な知識経験を要しますので、弁護士会から紹介を受けた弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

    補足 2011/10/11
     こんなコメントをいただきました。

    私は、中学2年生です。
    法律上親子の縁が切れないのは
    分かりましたが、
    養子縁組を組めば、
    今の親とは縁を切れるのでしょうか?

    結論からもうしますと、養子縁組をしても、元の親との縁は切れません。養子縁組をした人の戸籍を見たらわかりやすいのですが、戸籍には元の親(実親)が記載されており、扶養義務や相続権など、親族関係の定めは養親とともに適用されます。

    例外的に、「特別養子」という制度があり、夫婦で6歳未満の子どもを養子にとる場合に、家庭裁判所の許可により、元の親との関係を法的に切ってしまうことが可能です。特別養子の場合には、扶養義務や相続権などは養親との間にだけしか発生しません。

    補足2 2023/08/01
     別のコメントをいただきました。

    18歳です。現在、両親が離婚し母の戸籍に入っている状態です。父の戸籍に入れば母との縁を切ることは可能でしょうか?

     結論としては、父方の戸籍に入っても、母(親)と子の縁を法的に切ることは不可能です。
     どちらの戸籍に入るかは、現行制度上では単に姓(氏)の統一の意味だけしかありません。

     単に母の戸籍から抜けたいだけならば、役所に「分籍届」を提出することで、自分ひとりだけの新戸籍が作れます。
     父方戸籍に入りたい場合は、家庭裁判所で父方の氏への変更許可を受けたあと、役所に「入籍届」を提出すればよいです。

     *ご相談メールありがとうございます。
      上記の回答で不明の点がございましたら気兼ねなくお問い合わせください。
      なお、メールでの返答は致しませんので、あしからずご了承ください。

    親族問題参考文献リスト