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ドメイン名の不正取得

 平成13年に不正競争防止法が改正され、不正に利益を得ようとしたり、他人に損害を与える目的でドメインを取得・保有することが禁止されました。それまでは、実際にドメインを使っていない場合には不正競争にならなかったのですが、この改正により、ドメインを取得するだけで違法の扱いになりました。

 ドメイン紛争は、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が定めた紛争処理方針に従って、日本知的財産仲裁センターで裁定が行われます。
 詳しい内容は、各センターのWebサイトをご参照ください。
 ドメインの権利はあくまでもドメイン管理団体が認める範囲での名称の使用権であって、特許権や意匠権のように固有の排他的性質を持つものではないのですが、ドメインがネットワーク上で唯一無二の名称として、商標や商号と同じように使われる現実上、一定の財産的価値を認めて第三者による侵害からの保護を図ることになっているわけです。

 これに関連して、以前「mp3.co.jp vs mp3.com」事件というのがありました。センター裁定では、jpのドメインをcomに移転するべしと決まったのですが、それに対して、jp側がcomの登録者に対して、不正競争防止法を主張しないように求めて日本で裁判を起こしたのです。この件について、「裁定が覆った」と評するものもありますが、裁判所が判断したのは、「不正競争防止法」該当性であって、裁定の結論そのものを無効にしたり、覆したりするものではありません。

 センター紛争処理方針・手続規則によると、裁定から10日以内に提訴すれば、裁定の実施が保留される仕組みになっているのですが、裁定はすでに下っているので、ドメイン移転を防止するためには、改めて仲裁センターの判断を仰ぐ必要があります(おそらくその場合にはセンターが裁判所の判断に従うので、結論は同じになる可能性が高いと思われます)。

 仲裁センター自身も、センターの判断と裁判所の判断が食い違う場合もあることを認めており、その場合の対応は、事案の集積によって当面は様子を見るという態度を取っているようです。このあたりのあいまいさはなんとも日本的だなあと思うところですが、幸い、その後はセンター判断と裁判所判断が逆転する事案は、現れていないようです。

 ちなみに、ドメインに関しては、アジア系の詐欺グループが活動しており、ドメイン保護を口実にして、無用のドメインを登録させたり、ドメイン移転をほのめかしてコンサル料を請求したりするための、ダイレクトメールを送ってくるケースが世界中で広まっています。
 ドメインに関するダイレクトメールはほぼ詐欺ですので、安易に返信したり、問い合わせをしたりしないように注意してください。

交通事故賠償額表計算シート バージョンアップ

交通事故賠償額を計算するための、マクロ使用の表計算シート(Microsoft Excel用)です。

交通事故賠償額表計算シート tracalcu とらかるく

私が、交通事故紛争処理センターであっせん案を作るときの計算機として使っています。

結構使いやすいと思うので、提供しております。

これまで、ライブラリの中という見えにくい位置にあったためか、閲覧件数がいまいちですが、いちどお試しいただければ幸いです。


平成28年賃金センサスのデータに対応しました。
元データは厚生労働省平成28年賃金構造基本統計調査こちら


平成28年生命表を補充しました。
元データは、厚生労働省平成28年簡易生命表の概況こちら
その他、年齢の計算関連のバグを修正しました。


平成29年賃金センサスのデータに対応しました。


基礎データの保存に対応しました。

著名商品等の表示

 以前の記事「不正競争防止法19条で保護されるケース」で、一定の場合に自由に使ってよい表示があること(地名、自己の氏名、先使用)を説明しました。
 今回は、一定の場合に使ってはいけない表示についてです。

 不正競争防止法2条1項2号では、他人の業務について、すでに使われている商品や営業の表示を使ったらダメと規定しています。長い名称の一部として紛れ込ませることも基本的に不可です。
 裁判で負けた事例としては、「青山学院」という名前を、青山学院とはまったく関係のない人が、自分の経営する学校の地名にくっつけて、「呉青山学院」という名前にした例があります。この類型の裁判で勝つためには、当該名称が「著名ではない」ことを主張しないといけないので、とにかく、誰もが知っているようなすでに有名な名称を使いたいときには、許諾を得ることが先決と思います。
 裁判になって、被告が負けている例としては、ほかに「虎屋」「三菱」「J-PHONE」「JACCS」などがあります。どれもその文字を見ただけで、どんな事業をしているかすぐにわかるようなものばかりですよね。

 ところで、J-PHONEやJACCS、sonybank事件などは、「ドメイン」に関する事件である点で、特徴があります。
 ドメインとは、インターネット上で使われる名前のことです。インターネット上で情報のやり取りをするためには、IPアドレスという番号(我が家の玄関の表札みたいなものです)をインターネット全体に周知させる必要があります(これによって、世界中から間違いなく目的地を訪問できます)。IPアドレス(IPv4の場合)は、「177.133.144.155」のように、3桁×4組の数字で示されています(このほか、IPv6というやつもあり、こちらはもっと長いですけど、そこの解説が目的ではないので、省略します)。
 この数字の羅列だけでは人の目による識別性が悪いので、番号と名称を対応させた仕組みが「ドメイン」です(ごく簡単に説明しましたが、実際はもっと複雑な仕組みです)。
 私の保有ドメインは、「uhl.jp」です。全世界に同じものは絶対にありません。重複しないように、ドメイン管理組織によって管理されているからです。ちなみに「.jp」は、日本を表すトップレベルドメインです。最近では、業種別とかグループ別などの新しいトップレベルドメインが次々に設定されていて、もはや国別を表すトップレベルドメインは少数派になってしまっています。申請者が希望したドメイン文字列が同一トップレベルドメイン中に既存でなければ、どんなものでも、だれでも、簡単に取得できます。

 かつては、ドメインが全世界で一つしかないというユニークさと、誰でも無審査で取得できるという点を悪用して、上記のように、J-POHNEとかsonyとかを含む名前を、それらの企業と関係のない人が勝手に取得し、いざ当該企業がそのドメインを必要とした際に、高値で売りつけようとする事例が頻発していました。
 現在では、著名ドメインを取っても、裁判で負けて無駄骨になることが周知されたので、以前のような紛争は激減しています。また、日本知的財産仲裁センターがJPドメインに関する紛争処理の仲裁を受け付けていますので、類似ドメインの排除が必要になった場合に、裁判をするまでの必要は通常の場合ありません。