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  • e内容証明、マシになったよー、、、って言いたかった。

    ずいぶん前に、電子内容証明が使えない って話をして、JapanPost先輩のことをけなしてました。
    それから、システムがWeb化されて、ずいぶん使いやすくなったなあって思ってましたら、再び悲報です。

    というのも、なぜかファイルローダーがWord2013までしか対応してなくて、私のようなOffice365で常に最新officeにしているPCオタクにとって、またもや古いシステムでしか使えない不便な代物になってるんですわ。

    推測するに、レンダリングを単純化するために、対応ソフトを限定してるんだろうけども、バージョンまで限定っていうのはどうにも手抜きすぎ。つか、特定の有償ソフトを使わないと電子内容証明送れないってのは、いまどきあり得なくないですか。

    内容証明表現では、どうせワープロ系ソフトの装飾機能は、ほとんど制限されるんだから、いっそのこと、テキスト編集もWebソフトの技術で実装してほしかった。
    それならテキストコピペ>編集>送信の流れが全部ブラウザで済むもんね。

    定型書式のひな型をダウンロードさせて、それをまた読ませるってのは、なんすか。それ、そっちでは流行ってるんすか。

    惜しいです。JP先輩。
    ・・・MSからなんかもらってるんすかね? それならしょうがないけど。

  • 商標権者の不正使用による取り消しと予防法務

     民事法の世界では、「権利の上に眠るものを保護しない」という言葉(古くから言われているこのような法律的な言い回しを「法諺(ほうげん)」といいます)があります。これは例えば「消滅時効」とか、「不使用取消」などが依拠する基本的な発想です。今回は、商標法に見られる「クリーンハンズの原則」について説明します。

     クリーンハンズとは、「きれいな手」という意味です。つまり、法律の保護を受けようとする者は、自分自身が法律の保護を受けるに値する清廉潔白さをもっていなければならないとする基本的発想です。民法で有名なのは、「不法原因給付(民708条本文)」です。不法な原因(たとえば不倫の見返りとして金品を供与したり、賭博の掛け金を払ったり、出資法違反の高金利を取るために金を貸したりするようなこと)で相手に金品を渡したときは、原因になる契約が公序良俗違反で無効(民法90条)であっても、金品の返還を求めることができないという制度です。つまり、自らが違法な行為で無効の原因を作っていながら、その無効を理由に相手に返還を求めるというのは身勝手であり、法律では助けてあげませんよということです。

     商標法で、このクリーンハンズが強く現れているのが、商標権者の商標不正使用取消(同法51条1項)という仕組みです。
     商標権者であっても、他人の商標を故意に侵害するために自己の商標に類似した商標を使った場合には、類似の元になるもともとの登録商標も登録を取り消されるという制裁的な制度です。さらに、一度取り消されると5年間その商標範囲の出願は受け付けられないという厳しい内容になっています。
     実例で著名なのが「アフタヌーンティ事件」です。特許庁は商標権を取り消しませんでしたが、東京高裁は特許庁と逆の判断をして取り消しました。

     それと別に、使用権者の不正使用取消(53条1項)という仕組みもあります。これは、商標権者自身でなく、使用許諾を受けた者が、他人の商標を侵害する類似商標を使った場合、もともとの商標登録を取り消すというさらに怖い制度です。そのため、商標権者は、商標許諾時には、厳重に契約で縛っておかないと、大変な不利益を被る可能性があるので注意が必要です。
     この実例で有名なのが、「ミネフード事件」です。これは商標権者の商標を第三者に使用許諾したところ、その第三者が勝手に商標の一部分だけを取り出して使っていたら、呼び名が似た商品を売っていた別の会社から訴えられたという事件です。これも特許庁では取り消されなかったのですが、東京高裁では取り消されるべきとされました。

     日本のビジネス界では、契約の拘束力に対する意識が低いのですが、紛争になった場合、契約書の記述は重要です。たとえば上記のような紛争の場合、商標改変使用の禁止と違反時の損害賠償予約・違約罰条項等を使用許諾契約に入れておくことで、ある程度の対策になります。そのあたりのことを押さえておかないと、他人の不始末のせいで、大きな損害を被る羽目になりかねません。商標権に限らず、契約書一般について、予防的観点からのチェックを平素より怠らないようにするとよいでしょう。

  • 民事裁判での請求・主張・立証

     裁判は、原告(請求する側)が、被告(請求される側)に対して、一定の法律的な権利・地位に基づく「請求」をし、そのために意味のある事実経過(要件事実といいます)を「主張」し、これを契約書や領収証等で「立証」するという方法で進行します(処分権主義)。

     その裏返しとして、裁判所は、原告が請求していない事項を判断してはいけないという制約を受けています(民事訴訟法246条)。このことは、すなわち、原告が「まちがって」請求を絞ってしまうと、本来判断してもらいたかったのと違う結果になってしまう危険があるということです。
     したがって、訴訟を起こす場合には、具体的に何を請求するのか、そのために何を主張しなければならないか、また、その主張をどうやって立証するのかをよく考えてから実行する必要があります。
     請求の間違い、主張・立証の不足による不利益は原告が負担するので、要件を満たさない提訴をすると敗訴してしまう危険性もあります。
     学部生の知識レベルでは、どのような法律の仕組みがあるのか十分理解していても、では、具体的に目的とする権利を実現するために、どのような請求を立て、事実を主張し、立証しなければならないのか(実務への応用)の点では、まだ訓練不足の状態にあります。法科大学院を卒業し、司法試験に受かった人がさらに長期間訓練をしなければならないのは、この実務応用力を鍛えるためです。
     
     「主張」は適切な時期にきちんとやっておく必要があります。もし、裁判が進んで、判決の間際になって、「新しい主張」をしようとすると、相手方から「時機に遅れた主張である(民事訴訟法157条)」という異議が述べられることがあります。訴訟の進行を遅延させる行為であると見られてしまえば、その「新しい主張」は、いくら正当なものであっても、制限される危険があります。

     ちなみに、前回話題にした商標法の不使用取消は、まず特許庁の「審判」を経て、次に裁判所の「訴訟」でその結果の当否が争われるという順番がありますが、商標法に「商標の使用を審判で証明しない限り取り消す(50条2項)」という規定があることから、審判で証明できなければ、裁判所で証明しても取消は免れないと解する見解もありました。議論はありますが、現在の最高裁見解は、裁判での主張・立証も認めるという方向性にあるようです。

     裁判は当事者の公平を図るために、厳しいルールで運営されていますが、あまりにも硬直化すると真実から遠ざかり、違法・不正を見逃してしまいかねないという問題があり、法律実務に携わる関係者は常に、ルールか真実かのきわどい選択を日々行っているといえるかもしれません。