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  • litigatorという存在について

    唐突ですが、Ally Mcbeal ってご存じですか。アリーマイラブといえばわかる方もいるかもしれません。ボストンの法律事務所で働く女性弁護士を主人公にしたアメリカFOXのTVドラマシリーズです。
    一時期気に入ってDVDまで買って見ていました。

    その中で、何話だったか忘れましたが、主人公の女性弁護士アリーが、「I’m a litigator」と叫ぶ場面があります。litigator とは、とある辞書によれば「a lawyer skilled in arguing in court.」だそうです。

    一方、litigatorに対しては、ある種ネガティブな固定イメージがあるようで、例えば、このようなワニ・は虫類のイメージがよく見られます。The world’s most dangerous reptile… reptile には「は虫類」の意味のほかに「卑劣」という意味もあるようで、..gator が aligator の韻を踏んで、litigatorに対する揶揄的表現になっています。

    しかし、私は自分がlitigatorであることに誇りを持っています。litigationはあらゆる知覚記憶表現叙述の技能を駆使する非常に高度な作業だと思います。弁護士からの依頼しか受けず、法廷でしか戦わない弁護士専門の弁護士になりたいとすら考えたことがあります。

    利益が対立し合う当事者が着地点を見つけるためには、訴訟は非常に合理的な手段の一つです。最近ではADR(Alternative Dispute Resolution)といって、訴訟外で、相互に譲り合って、早く解決しようという流れもありますが、これは条件によっては、「弱い者があきらめ、強い者が無理を通す(ここでいう強い・弱いは非常に多くの要素をもつ概念として使っていますので、一般にいう「弱者・強者」と必ずしも同じ意味ではありません)」構図になってしまいかねない問題があるように感じています。

    私は、これからもlitigatorの誇りをもって仕事をしていきたいと思います。

  • 債務整理事件処理の報酬制限4月1日から

     このたび、日弁連では、債務整理事件の報酬に上限を設ける規則を作り、今年の4月1日から実施することになりました。
     その内容は、着手金には制限がなく、報酬について、
      1社あたり2万円(商工ローンは5万円)以下
      減額報酬 10%以下
      過払金報酬 訴訟によらないとき20%以下、訴訟によるとき25%以下
     となっています。

     ちなみに、大阪弁護士会では、かなり以前から、相談センター経由での受任の場合には、
      着手金 1社あたり2万円(最低5万円、上限75万円)
      支払い示談報酬 一括の場合10%以下、 分割の場合5%以下
      減額報酬 10%以下
      過払金報酬 訴訟いかんにかかわらず20%以下
    という基準で動いていました。当職もおおむねこれに倣っていました。

     さらに、当職が、相談センターでの受任審査をしていた経験からすると、
      着手金 1社ごとに2万円
      (最低2万円、弁護士会基準上限が問題になるような案件はほとんどない)
      示談報酬 5%~10%
      減額報酬 なし~10%
      過払金報酬 10%~20%
    というのが相場でした。

     また、最近のトレンドは、
      着手金なし (ただし、従来の着手金相当額を報酬に上乗せして請求)
      減額報酬なし
      過払金報酬 10~30%
     というように、着手金をなくしたり、減額報酬を取らないというような方向性になっています。
     もし、相談先で、減額報酬を請求したり、報酬を2割以上要求されたりしたときは、弁護士会で別のところを紹介をしてもらったほうが、安く上がる可能性があります。

     以上は、弁護士限定の話です。
     司法書士さんには、今回の規制は及びませんので、司法書士さんの請求はいままでどおり自由です。こちらはいろいろなケースがあるようですが、当職の依頼者を通じて聞く限り、概して大阪の弁護士よりも高いように思えます。

     ちなみに、弁護士の場合には、金額に制限なく訴訟代理権があるので、140万円を超えても、本人の代わりに裁判所に出廷できますが、司法書士さんの場合には、その金額を超えると訴訟代理権がないので、どうしても訴訟の必要がある場合は本人に出廷してもらわなければなりません。過払いが高額になりそうなときは司法書士よりも弁護士へ依頼したほうが楽で安上がりだと思います。

     弁護士の中にも報酬30%を提示する人がいますが、4月1日以降はそのような提示ができなくなります。
     さらに、悪質な弁護士・司法書士にひっかかると、過払いになる部分だけを引き受けて、支払いが残る分をそのままにしていたり、過払いが少なくて報酬が期待できないケースを、「弁護士会へ行け」といって、追い返してしまうという事案がありますので、注意してください。

     そうして、そんな利益にならない案件は、弁護士会の法律相談を公益活動の一つと割り切って担当しているような、古き良き弁護士や、売上の少ない新人弁護士ががんばって対応しています。
     今回の規制は、弁護士に受任義務まで課していませんので、一部の弁護士や司法書士が、そんな弁護士たちの犠牲の上に、事件あさりをする構図は、今後も続くと思われます。
     悪徳士業には、くれぐれもご用心ください。

     

  • 大阪市の防災

    どこの町でも防災マップを作っていると思われます。「**市 防災」などで検索すると、災害対策のホームページを見ることができます。

    例えば、大阪市の場合はこちらをご覧ください。

    大阪市の想定条件は、震災の場合、
    「発生する確率が今後30年以内に50~60%、大阪市においては震度5強(一部6弱 M8.6程度)の揺れとともに2~3m程度の津波が地震発生後約2時間で来襲」となっています。
    それによると、当事務所の所在する大阪市北区西天満付近では、津波の直接の影響はないものの、淀川が氾濫したケースを想定した浸水マップをプラスすると、約1~2mの浸水が想定される地域となっています。

    比較的安全な避難方向は、大阪天満宮方面です。
    より安全なのは大阪城付近(いわゆる上町台地方面)ですが、万一、橋が崩落・喪失した場合には、たどり着くのが困難になります。

    大阪市の防潮堤は、満潮位+3.6m~5.1mで設計されているそうです(つまりそのくらいの高さの津波までは食い止める)。しかし、大阪湾の形状が複雑なので、複数の波が重なる現象が生じる可能性があるのかもしれません。

    気になるのは、淀川氾濫時の大阪駅近辺の浸水予測がかなりひどいことです。河口から約10kmはあるので、津波の直接の影響は少ないかもしれませんが、悪条件が重なると、主要交通機関の回復がかなり遅くなるかもしれません。