内定・試用期間

 今回は採用と内定試用期間についてです。

 労使関係は契約に基づくものですので、大原則は「契約の自由」であり、企業側から見れば「採用・不採用の自由」です。

 従って、本来的に、採否を求職者へ通知する際に、採用・不採用の理由を示す必要は特段ありません。「諸般の事情を総合的に考慮して」決めればよいわけです。ただし、その理由が、人種差別や性差別に由来するようなものであると、違法性の問題は残ります。

 採用・不採用の適否が直接問題になる場面はほとんどありません(求職者も不採用になれば次を探すのが通常でしょう)が、採用内定という段階まで来てから、内定を取り消す場合に、問題が起きる可能性があります。

 大日本印刷事件では、一定の内定取り消し条件に当てはまったら、内定を取り消すという誓約書を作成しており、そのうちのある条項に該当するとして、内定を取り消しましたが、最高裁は取消を認めませんでした。この件やその後の裁判例を見ますと、採用内定は正式採用とほとんど変わらない意味を持つものと解釈されていますので、内定だからといって、理由なく取り消せるわけではないことに注意してください。

 次に、正式採用までの間に一定の試用期間を設定することがあります。内定について述べたとおり、内定ですら理由なく取り消せるわけではないので、正式採用ではないとはいえ、試用期間中あるいは試用期間満了時に雇止めをすることに対しては、基本的に「解雇権濫用制限法理」が適用されることになります。

 以前にお伝えしたように、中国では労働契約期間に応じて試用期間の制限があり、その制限を超えたら、雇用継続するかどうかを必ず決めないといけないのですが、日本の場合には、試用期間を設定することは認められているものの、その期間や雇止め条件について、現在のところ、何も規定がありません。そのため、実務上は、微妙で難しい問題が生じます。試用期間が慣行に比べて長すぎる場合(一般には3ヶ月程度までとされているようです)や、不当労働行為・権利濫用などにあたる場合などには、試用期間設定そのものが無効になる可能性もあります。

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