司法書士の過払金請求広告について

 最近電車の中で,司法書士さんの「過払金請求できます」という広告をたいへんよく見かけます。これで多重債務を負った方々が救われれば,なにもいうことはないのですが,司法書士さんのなかには,過払いのある債権者だけを整理対象として,それ以外の債務については,手をつけないという処理方法をとる方も居ると聞きます。弁護士にもいるのかもしれませんが。。。

 本来,過払金請求というのは,多くの債権者と長年にわたって貸し借りを続けているなかで,債権者毎に生じてしまう不平等(ある事業者は過払いを利益とし,別の事業者は過払い分の弁済のために貸金が残ったままになること)を,一般債権者平等原則にたって,債務者側で任意に調整するところに意味があります。つまり,「払いすぎたものを取り戻す」という単純な話ではなく,あくまでも,「債務整理」という全体構想のなかに位置づけで考えなければならないものです。
 ところが,過払請求だけしか引き受けない司法書士・弁護士は,債務全体を見て債務者の再生を考えるという作業をしないため,過払いは回収したものの,そのほかの債務が残っていて,結局家計が再び行き詰まってしまうという方が出てきているようです。このようなことがないように,債務問題を引き受ける場合には,必ず,どのような出口(破産,民事再生,任意整理など)に向かうのかを予測したうえで,必要な準備をしていくことが必要です。

 士業に携わる者には「武士は食わねど高楊枝」という意地が本来備わっているはずです。有資格者が増えて,競争も激しくなりつつあるこの時勢で,難しいことではありますが,「貧すれば鈍する」とならないように,「士」たるもの,心して法曹としての誇りをもって仕事をしていきたいものです。

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