会社との取引の基礎的な留意事項

会社の住所とは
 個人であれば,住民票の置いてある「住所」,現実に住んでいる「居所」の区別がありますが,会社の場合はどうでしょうか。
 会社法では,会社の住所は「本店所在地」だとしています。このような定めが必要なのは,いろいろな法律の適用の場面で,会社の「住所」が問題になるからです。「本店所在地」は「代表者の住所」と同じである必要はないし,「社屋」のある場所でなくてもよいのですが,対外的な信用の上では,きちんと対外的に表示できて,来訪されても問題がない場所を「本店所在地」にするべきでしょう。

会社の氏名とは
 個人の氏名は,戸籍謄本に記載されたものが唯一公式のものです。別に「通称」を使うことは自由ですが,公的な手続のうえでは必ず「戸籍名」を使わなければなりません。
 会社の場合には,「商号」が唯一公式のものです。これは会社を設立したときに名称として定めて,登記することによって対外的に公表され,一定の保護を受けると同時に,それにともなう責任も生じます。
 保護の面としては,他の会社から「商号」をまねされたり,勝手に使われたりしたときには,そのようなことを止めさせることが出来たり,損害賠償を請求できたりします。
 他方,責任の面としては,他人に自己の商号を承諾のうえで使わせた場合に,取引の相手方に対して,名義貸人としての責任を負う場合がありますし,他人の商号を承諾を得て使っている場合に,取引の相手方に対して,その商号をもつ他人の分まで,名義借人として負担させられる場合があります。
 名義の貸し借りは,望ましくないと分かっていながら,いろいろな義理がけで、ついやってしまいがちなことではありますが,弁護士の立場からは,どんなことがあっても絶対にやってはいけない行為の一つであるとアドバイスします。

法人格の否認という問題
 上記に派生して,たとえばA会社に,代表者個人Bや関連会社Cの資産負債・組織構成・経理関係などでの混同・混乱がある場合には,取引相手(債権者)から,「A社=B=C社である」との主張がされる場合があります。このことを「法人格否認」といいます。この主張が認められた場合には,会社と個人で違うだとか,A・C社は関連はあるけど別会社だという言い訳が効かなくなります。
 法人格をうまく使うためには,組織・経理をしっかり整理・区分しておかなければなりません。

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