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セクハラ・パワハラについて

いつまでも、暑中見舞いがタイトルトップでは格好が付かないので。。。
顧問先(会社)向けのニュースレターに使った原稿を流用します。
 某企業のパワハラ解雇問題が報道されていたころに記述したものです。

 今回はセクハラ・パワハラに対する経営者側の対応について述べます。
 報道の限りではありますが,会社側の対応はいくつかの点で非常にまずいところがあります。

・降格処分が早すぎたこと
 いうまでもないことですが,労働者の地位は法律や社会慣行で非常に手厚く保護されており,その現実を前提とした対応をとる必要があります。
 会社に貢献しない従業員を解雇するまでには,長い道のりが必要です。まずは,会社の就業規則にきちんとした懲戒手続を整備する必要があります。そのうで,最初はいちばん軽い処分から積み重ねていく必要があります。たとえば,口頭注意,書面による戒告,配置転換,減給などの手段を尽くして,なお問題が改善されないときに限り,降格処分や自宅待機を命じるべきです。いきなり降格や自宅待機というのは,会社の金を横領して本人も認めているような悪質なケース以外では不適切です。また,それぞれの懲戒処分については,きちんとした違法でない理由と証拠が必要です。

・親会社への通報を懲戒理由としたこと
 子会社やグループ会社の場合には,ほかの関係会社との間での問題もあります。報道では親会社・本社への通報もされたようですが,その直後に自宅待機というのは,明らかに関連性を疑わせます。重要なことは,会社として正当な懲戒であることを主張するためには,単に正当だということを主張するだけでなく,隠れた不法な意図もないことを示すことが必要だということです。その意味では,本当は関連がなかったとしても,それを疑わせるようなやり方は非常にまずいといえます。

・反訴を提起しようとしていること
 セクハラ・パワハラ訴訟は,提起された時点ですでに会社の半分負けです。まして,会社が従業員相手に反訴を提起したとなれば,万一訴訟で会社が勝ったとしても,傷ついた会社のイメージや残った従業員が抱く漠然とした不安感は会社をじわじわと侵食して,社内の雰囲気を悪化させ,やがてチームワークが崩れていき,いずれはどこかで抜本的な建て直しが必要となる時期が来てしまいます。本件は,訴訟になる前に,経営トップがしっかりとした対応を示して,提訴を阻止すべきでした。
 訴訟になったら弁護士に依頼せざるを得なくなって,費用もかかりますし,万一解雇無効ともなれば,慰謝料に加えて,未払給与を請求され,復職の手当まで迫られます。
 また,場合によっては,提訴前に労働者側から「地位保全の仮処分」が申し立てられ,給料の仮払いを強制されることもあります。これらのコストを考えると,上積み退職金を払ってでも,円満に退社してもらうほうがベターです。もちろん,悪質な従業員の場合には社内風紀上も徹底して争うべきですが,その場合でも,最初に説明した順序を追った慎重な手続きが必要です。

 従業員の解雇や懲戒の場合には,後日のトラブルを避けるために,ささいなことでも弁護士へあらかじめご相談いただければと思います。