投稿者: YamanouchiKatsura

  • 電子内容証明ソフトが64bitに対応していない件>対応済

    2013-12-26追記:電子内容証明ソフトが64bit対応しました。詳しくは、日本郵便のe内容証明サイトをご参照ください。
    以下の情報はもう不要のものですが、参考として残しておきます。ご訪問ありがとうございました。

     64bit版ドライバ一本作ってソフト設定を微調整するだけなのに、なぜここまで対応が遅れるのか、一般企業ではありえない遅さだと思うが、ライセンスとか予算とか技術者とかいろいろな障害がおありのことと事情を察し申し上げている間にも、業務に支障が出るので、ネットの先人たちに勝手に教えを乞いつつ、なんとか苦労してWindows8 Pro+仮想化XPで内容証明ソフト稼働成功した。その過程で、クリアした問題点のメモを書き留めておく。なお、Windows7Pro64bitの場合は便利なXPモードがあるのでそちらをご利用されたし。

    Windows8 Proの場合の対応
    1 Hyper-Vを起動して有効化
      ハードウエアが仮想化に対応していることが必要。
      Hyper-Vでチェックボックスにチェックできない場合、BIOSの初期設定が無効になっていることがあるので、その場合はBIOSで有効化して再起動してから再設定。

    (2013/9/4 修正)
    2 ネットワークの構成
     当初(1)仮想スイッチで内部ネットワークを作成(外部ネットワークの設定にすると、仮想化サーバー側のネットワークがインターネットから切断されてしまう)。(2)これまで使っていたインターネット接続を共有化する。
     と説明していた。実はこれは海外のサイトにあった設定例をそのままマネしただけだったが、その後どうも接続が安定せず、どうやら間違いがあったようだ。

     その後、上記のリンクを参考にして設定を以下の通り変更した。ネットワーク構成やPCの設定によって、いろいろなパターンがありうると思われ、各自ご検証されたい。
     1)仮想スイッチで外部ネットワークを作成。その際、必ず「管理オペレーティングシステムに・・・共有を許可する。」をチェックする。
     2)これによって、ネットワーク接続に「ネットワークブリッジ」が追加されて、仮想システムと管理システムとが、両方ともインターネットへ接続できるようになる。
      
    3 仮想マシンの作成
     1)Hyper-Vの新規>仮想マシン から仮想マシンを作成する。
     2)XPを内容証明専用に使うだけなら、メモリの割り当て512MB,仮想ハードディスク16GBくらいで十分。ちなみに、OpenOfficeのCalc、Impress、Writerと電子内容証明BizFAXスマートキャスティングツールを入れた状態で10GB未満である。Win7とか、ほかのソフトも入れるならもう少し多めに必要かも。
     3)「ネットワークの構成」で、2で作成した接続を選択する。

    4 WindowsXPまたはWindows7の32bit版を仮想マシンにインストール
      ライセンスがいろいろあるので、ネット認証で問題が起こったら電話認証を試す。
      電話認証を拒否されたら、マイクロソフトのサポート担当者と話をして事情を説明してもらう。

    5 Windowsのアップデート
      WindowsXPの非SP版を入れると、SP2・SP3の二つのアップデートをする必要がある
      また、仮想マシン接続メニューの「操作」から「統合サービスセットアップディスク」を選択して、インストールすると、ウインドウ間をいちいち「ALT + ←」しないで移動できたりして便利なのでこれもやっておく。

    6 ワードまたは一太郎のインストール
      ライセンスないよ、という方は「OpenOffice」でもOK。内容証明だけならWriterだけ入れれば十分だが、念のため、ImpressとCalcも入れておく。

    7 内容証明ソフトのインストールと初期設定
      インストールしたOSに対応するバージョンを入れる。

    8 受発信名簿ファイルの移動
      プログラムフォルダのjapanpost…csvフォルダにある二つのCSVファイルをコピーして、仮想マシンの同じ場所へコピー(いったん共有フォルダへコピーしてから移動する)。
      共有がうまくいっていない場合は、外部のオンラインストレージを介して移動。

    9 内容証明ソフト・サイトのテスト
      新しいブラウザでは、送信文書の最終チェックを済ませても、「差出」ボタンが現れないことがあるが、互換性の問題なので、互換表示をONにすればOK。

    というようなことです。

    これって、コンピューター苦手な人にはあまりにも高いハードルではないですか?
    XPも来年にはサポートが切れるので、早く64ビット対応お願いします。ていうか、Webベース版で十分のような気はしますけど>>日本郵便様

  • マンション居住者のための区分所有法・管理規約 超入門

     マンションは自分の持ち物とみんなの持ち物との集合で成り立つ建物です。
     自分の持ち物部分を「専有部分」といいます(2条3項)。
     みんなの持ち物(だれか一人の持ち物ではない)部分を「共用部分」といいます(法2条4項)。
     この専有部分・共用部分は法律と規約で対象が定まる仕組みですが,複雑ですので今回の説明は,ひとまずこの程度に留めておきます。

     各区分所有者は、自分のものかみんなのものかにかかわらず,「建物」にとって有害な行為や,管理・使用に関して,みんなの利益に反することをしたらだめというのがいちばん基本的な義務付けです(法6条1項)。
     基本的なルールは区分所有法が決めていますが,多くの点で,必ずしも法律通りにする必要はなく,区分所有者が管理規約や使用細則を定めて,独自のルールで建物を管理運営していくことが可能です。
     いろんなところでよく説明に出てくる「標準管理規約」は,国土交通省が管理規約のモデルを示したものであり,その通りにするかどうかは各管理組合の自由です。ときどき,標準管理規約が個別のマンションの管理規約より優先して適用されるというような誤解をしている方もおられますが,あくまでも,管理規約はそれぞれのマンションの自主ルールを定めたものですから,その内容が法律違反でない限り,それぞれのマンションの管理規約が適用されます。標準管理規約が改訂されても個々のマンション管理規約が変更されない限り,標準管理規約の変更がそのマンションに適用されることはありません。

     最初に説明したように,マンションは自分のものとみんなのものとが入り組んでいますので,各区分所有者は,自分のものかみんなのものかにかかわらず,保存(維持・補修等)や改良(増設・改装等)のために必要であれば,ほかの区分所有者の専有部分や共用部分であっても,使わせてくれるように請求する権利があります。使わせてくれと頼まれた場合,それが保存・改良の必要によるのであれば,認めてあげなければいけません。ただし,ほかの区分所有者が,その使用によって損害を受けるときには,使用するものは補償金を払わねばなりません(法6条2項)。なお,これは使用そのものに関する損害のことですから,たとえば,保存改良工事の結果,逸水・ばい煙等が直接ほかの専有部分へ侵入するようになったなどのトラブルは,単に,加害・被害当事者間での不法行為問題であって,区分所有法の補償金とは別の問題です。

     共用の廊下や階段はみんなの持ち物ですから,その用法(通路)に従って,みんなが自由に使えますが,専有部分ではないのですから,自分の居室の前や隣でほかの人の迷惑にならないからといって,廊下や階段に勝手に物を置いたり,機械を設置したりすることはできません(法13条)。

     たとえば,専有部分につながるダクト(専有部分)の設置が問題になった場合,そのダクトが共用部分である廊下や階段を通過するのは,共用部分の通常の用法でない(通常は,専有部分のダクト設置工事のために廊下や階段があるのではない)のですから,共有部分に関する管理の問題として,原則として集会の通常決議による許諾を得なければなりません(18条1項)。規約で,理事会や理事長にこの権限が集約されているところでは,それらの規約に基づく手続きとなります。もし,ダクト専用の配管スペース(共用部分)があるマンションであれば,そのスペースはその用法どおりの使用ですので,技術的・事務手続的なことはともかく,法的には許諾が不要です。

     管理費は,共用部分の管理のために管理者から各区分所有者に対して請求する費用です(法20条1項)。標準管理規約では,敷地の管理も目的に追加されており,管理費と修繕積立金とに分けて規定されています(規約25条1項)。
     管理費は共用部分の維持管理費用に充てるために徴収されますから,管理費・修繕積立金を専有部分のために支出することは目的外支出であって,認められません。共用部分と連続して一体となっている専有部分の給排水管について,全体として清掃する必要がある場合に,専有部分に要する費用も管理費負担にしてかまわないという標準管理規約の取り扱い(規約21条2項)はありますが,専有部分の設備の「更新」は専有部分の区分所有者が負担すべきと解されています(規約第21条関係コメント(5)参照。さらに例外的場面として規約22条とそのコメント参照)。いずれにしろ,個々のマンションの管理規約がどうなっているのかが最重要のチェックポイントです。

     管理費は一般的には専有部分床面積の割合に応じて負担額が決められていますが(法14条1項,規約25条2項,同14条),上記のとおり,共用部分の管理費用ですので,性質上、管理組合に対する債権と相殺できないと言われています(東京高裁平成9年10月15日判例時報1643号150頁)。たとえば,個人の負担で共用部分を補修して費用を支出した場合の立替金分は、管理組合の負担ではありますが、管理費と相殺することはできません。当然ながら、共用部分の瑕疵以外の原因(たとえば上階住民の漏水や隣家からの延焼等)によって専有部分の使用不能が生じても,管理組合に対する債権は生じませんから、そのことを根拠にして管理費を一方的に減額することはできません。
     理事の不正などのために、管理費を理事に渡してしまったら目的外に流用されてしまうおそれがある場合、法的には、理事の職務停止と職務代行者選任を民事保全により実現したうえで、問題の解決まで管理費の収支を第三者(職務代行者)に取り扱ってもらうという方策はあり得ますが、時間・費用コストがかかるうえ、根本的な解決には集会の多数派を占める必要があるので、現実的でないかもしれません。

     築年数の古いマンションは建物も居住者も高齢化が進み,あやふやな法律知識のもとに,でたらめな管理がされているというケースが散見されます。いわゆる管理会社にしても,専門知識があるのは一部の主任者だけで,営業社員は法律・規約には素人同然ということもよくあるようです。

     理事者にしろ一居住者にしろ,判断に迷ったら,まずはきちんと管理規約を読み,それでもわからなければ,マンション管理士や弁護士に法的見解を確認すべきでしょう。

  • 離婚:オーバーローン不動産の財産分与 と 雑感

    離婚の際には、夫婦が婚姻の共同生活中に取得・形成・維持した財産は、いわゆる「財産分与」として、夫婦で分け合うというのが通例になっています。
    分割の割合については、諸説あるようですが、例の年金分割制度の3号分割が割合50%でフィックスされていることを見ると、今日では、きっちり半分づつにするというのが、社会通念と考えてよいかもしれません。

    問題は、オーバーローン不動産(住宅ローンがたくさん残っているために、仮に売却しても、諸費用を控除するとプラスの財産として残らず、負債だけが残ってしまう物件)がある場合に、どのように分割すべきかという点です。

    実は、このケースについて、WEB上の検索語「離婚、オーバーローン不動産、財産分与」で上位10件に出てくるサイトの内容ですら、かなり不正確なものが混ざっています。おおむね30位くらいまでのサイトは全部読んでみましたが、見事に書いてあることが濃淡ばらばらで、もっぱら勘と経験と請け売りで書いているようなサイトばかりが目立ちます。

    2014-07-25修正)上記のように書いた後、最近再検索してみると状況はかなり改善されました。が、実務・裁判例・理論を基本にさかのぼって記述している決定版的なサイトはいまだ現れていないように思えます。私がそれをやるのは、荷が重いなあと考えているところではありますが。。。

    そんな中、おそらく(2013年7月時点の)WEB情報中で最も正確に記述されていると考えられる資料を見つけました。駄情報に埋もれてしまうのが惜しいので、勝手に紹介させていただきます。

    これです。名古屋の外堀法律事務所弁護士馬場陽先生が書かれています。すばらしい内容と思いました。いろいろなサイトを見て、惑わされているプロ・セミプロの皆さんは是非参考にしてみてください(完全な素人の方は駄情報との違いが識別できないかもしれません)。

    ところで、ちょっと話は飛びますが、、、

    やはり法律の専門家を名乗る以上は、法論理に基づいて法社会学的見地も考慮した自由かつ独立した思考に基づいて、実務的な判断をやっていくべきだと思うのですが、最近どうにも、裁判官ですら、前例がないだの参考判例をもってこいだの、アホなことをいう方々が増えているようで、情けない限りです。

    前例がなければ、法理論に抵触しない限り、創造すればいいんです。そうして上級審や訴訟当事者からもまれて、消えてゆくか、確たる前例第一号になるか、それは法論理と社会がそれを受け入れるかどうかにかかっているわけで、そういうダイナミックな動きに名誉をかけて関わるからこそ、法律家と名乗れるのではないでしょうか。

    単に依頼者の言い分をお上に申し述べるだけなら、江戸時代の公事師と変わらないし、前例がないから判決を書けないのであれば、裁判官はデータベースに置き換えてしまえば足りることになってしまいます。

    あー、ちょっとキーが滑りました。。。
    最近思うことでした。

    以上。

    2015.5.20 リンク先情報を更新しました。